夫を支え抜く決意

二人で闘病できる仕合せ

(結婚20年/HA60代女性)

 

厳しい状況も、教えのおかげで明るく

昨年、夫は、多系統萎縮症と診断を受け、余命まで宣告されました。治療法の確立されていない、神経の難病です。日に日に体が動かなくなり、ことしに入ってからは肺炎を繰り返し、命の山場をいくつも越えました。2月に胃ろうの手術をし、5月には、誤嚥性肺炎防止のための声帯閉鎖手術により、言葉を失いました。今、夫との会話は、重度障害者用意思伝達装置や文字盤を介しています。全介助で、一人で座ることも、立つことも難しい状況です。

それでも、夫の存在感は光っています。動じることなく現状を受け止め、明るく、前向きな夫に、医療スタッフも本当に親身になってくれます。入院時には、病室にスタッフが自然と集まり、笑い声が聞こえるほどでした。そんなスタッフを、「忙しいだろう、大変だろう」と常に気遣う夫。どうして、そんなふうにできるのかを尋ねると、周りへの配慮を欠かさず、相手の気持ちを考え、感謝を忘れないように努力していると教えてくれました。

夫は、以前から熱心に神示集を読み、在職中は教えを心に、誠実に仕事に取り組み、会社や人のために尽くしていました。今もその人柄が、皆さんの心を動かしているものと思います。

ただ、私には負担を掛けて申し訳ないという気持ちになることも多いそうです。でも、そんなことはありません。夫が留守の我が家は活気がなく、いてくれるだけで明るく、温かい空気に包まれるのを感じます。夫は、「何もできない」と言いますが、私や家族にとっては、存在そのものが温かく、元気を与えてくれ、生きる希望、力になっているのです。家族みんなでそう伝えます。私も、「どんなあなたでも、いてくれるだけでうれしい。お箸の片割れみたいになくてはならない存在」と、常に語っています。

夫の体調が悪い時、「つらいよね」と、二人で泣き合ったことがありました。しかし、思いを共有するうちに、自然と「一緒に乗り越えよう!」と気持ちが前向きになり、つらさが流れていったのです。人生の山谷を二人で越え、悲しみも、喜びも分かち合えることが、仕合せでありがたいと感じられるようになりました。声を出せない夫と「ありがとう」「愛してる」のサインを決め、いつも送り合っています。

妻として、夫を仕合せにしてあげたい

2000年に結婚した私たち。二人とも晩婚だったため、当初はぶつかることもありました。それでもお互いのことが大好きで、けんかをしても大抵ハグをして終わっていたものです。結婚して20年たちましたが、今回の病気を通して、夫の人としての強さ、大きさ、温かさがより一層見えて、尊敬とともに、ますます理想のタイプになっています。出会ってから今日まで、たくさんの仕合せをもらった分、今は少しお返ししているだけ。「夫の役に立てたら、仕合せな気持ちにしてあげられたら…」と願ってやみません。

実は、5月の声帯閉鎖手術の際、神のお力が働いたとしか思えないくらい“不思議”が重なり、物を食べたいという希望がかないました。現在は、胃ろうを使うことなく、口から三食好きな物を食べ、体に力が付いてきたのを感じます。「車いすで外食する」という夢に向かって、二人で楽しくリハビリに励む毎日です。二人でいられる仕合せをかみしめながら、ことしも、神寿の集いを迎えられたことに、夫婦で心から感謝しています。

縁のあった方たちに、生き生きと仕合せに暮らす私たちの姿をお見せしていきたいです。さらに、皆さんと一緒に学べるように、折に触れて声を掛けていこうと思っています。