親子の関係は一生続いても、その関わり方は、時の流れとともに変わっていきます。自転車に乗れるまでは、手取り足取り教え、補助が必要でも、徐々に手を離していく…、そのような感覚です。親があれこれ世話を焼き、心配し、気に掛けるのは、誰よりも我が子がかわいいからこそ。なのに、思春期を過ぎ、進路や就職、恋愛などの問題で親子の考えが異なったり、家で過ごす時間や会話が減って、何を考えているのか分からなくなったり…。親なら誰しも、「あるある」と共感する事象でしょう。
6月25日には、15歳から30歳までの未婚の子を持つ親御さんを対象に、神総本部から偉光会館に中継して「親の会」を開催。“我が子の仕合せを願い、親として何をすればよいのかを知りたい”そんな熱い思いを持つ方々が全国に集まりました。
“一人の大人”として向き合う
まずは、「親としての関わり方が変わる境は“15歳”」と聞いて、身を乗り出す出席者。親の庇護(ひご)の下にあった我が子が、自分の力で歩み始める「節目」です。15歳を迎えたなら、子供扱いせず、“一人の大人として向き合う”ことがポイントです。それから30歳までは、我が子に備わる「この世に役立つ良さ」を引き出し、伸ばせるようにするのが親の務め。「一人で自転車に乗れるのに関わり過ぎては、自立を妨げるばかりか、反発されるもと」との言葉に、特に母親たちが大きく反応していました。
「素行が安定しないのは…」と考えるシーンでは、職員の「子供に自信がないからですよ」のひと言に、誰もが納得。そうしたときに、「早く就職を…」「いつになったら…」と言えばプレッシャーになり、だからといって「無理しなくても…」では自立できなくなってしまうとの話に、ドキッとした様子も。30歳を過ぎて、我が子が社会の中軸を担える大人として羽ばたいていけるように、子供の強みを応援していく。そのための大切なテーマは「話し合い」との言葉が、出席者の心に響きます。
親子で思いを伝える“話し合い”を
話し合いで重要なのは、“子供の思いや考えを聞き、親としての思いを話す”。ぶつかってもいいのです。穏便に済ませようと、「言わない」方がよくありません。我が子の気持ちがつかめないときは、「自分が子供の頃はどうだっただろう」と振り返ると見えてくるはず。実践ポイントが次々つかめるたびに、ノートに書き留める姿も目立ちました。
話し合いができる家のイメージは、親子ともども、寂しさや不安、苦しみ、喜びなどを、テーブルに全部並べて、みんなで共有できる家です。やってはいけないのは、「それ、違うよね」という否定。会議室ではないので、答えを出す必要もありません。目指したいのは、「こういう気持ちなんだね」と共感し、励まし、時には「こう捉えた方が…」とアドバイス。話を聞きたくても、疲れていたなら、「ごめん、後でもいい?」と素直に言える間柄…。こんな居心地の良い家なら、苦しくても元気な心へと復元でき、尻込みしていても前向きになれます。完璧ではなくても、尊敬できる両親がいれば、「宗教二世」の問題にうろたえたり、揺らいだりすることもありません。それよりも、「お父さん、お母さんのように…」と、良い生き方を受け継ごうと思えるはずです。
気付きも、反省も、我が家の仕合せへの一歩に
誤った方向に行きそうになっても、仕合せになる方へと生き方を正せるのが、神の教え。気付いたこと、反省したことを実践すれば、確実に我が家の仕合せの一歩につながります。
「子供が失敗して、家族で話し合った時、『こうしないから…』と責める心が出てしまったことを反省したばかり。今回、話し合いができても、言い方やタイミング、我が子を大人と思って向き合う姿勢が大事だと気付けたのが大収穫です。少し前から、言い過ぎないように心掛けていた分、我慢しているのが本音。それも素直に、『話したいんだけど…』と言えばいいと分かったので、帰ったら子供に伝えたいです。今度は、『まず子供の気持ちを聞く』を忘れずに!」
「子供に『どう思う?』と聞かれても、『もう大人だから…』とか、『答えが分からないし…』と、あまり関わらなかった自分。何でも答えを出さなくていいと聞いたので、共感したり、励ましたり、愛心、愛語での触れ合いを、早速実践してみます」
「自分が子供の時どうだったかなと、思い出すきっかけを頂きました。親の『大丈夫』のひと言に元気が出たこと、仲の良い両親の姿に、ほんわかと安心できたこと…。やっぱり夫婦で仲良くしている姿が、子供にとって何よりの安心感につながると分かったので、妻と共有したい」
「娘とどう向き合えばよいのかをつかみたくて出席。15歳を過ぎたら親の関わり方が変わると聞いて、ドキッとしました。日頃は、娘のためを思って、『こうするといいよ』と先手を打ってばかり。まさか、それが子供の自立を妨げていたなんて思いもしませんでした。“何でも語れる家”を目標に、まずは子供の思いを知ることから。安心して話してもらえる親を目指します!」
「“親が子供を追い詰めてはいけない”は、まさに今の自分そのもの! 再就職が決まらない息子に、親としてするのは、息子の良いところを伝えること! 親子の出会いは毎日あっても、限りがあるから、今を大事に、子供の良さをたくさん褒めて、居心地のいい家にしたいです」
今生で、親子として結ばれたのは、奇跡と言うべきもの。親子で共に過ごせる一日一日を大切に、思いを何でも語り合いましょう。心が通じ合えるほど、仕合せが広がっていきます。我が子の人生が輝きます!