日本人でありながら、知っているようで知らない、「和食」の世界。四季の変化がある日本の風土、文化の中で、長い歴史を経て生み出されたものです。「自然の恵みに感謝していただく」「来客をもてなす心」…。その根底には、自然と調和し、人との礼節を重んじる日本人の精神が流れています。
その心に、実際に料理を食べながら、楽しく触れる催しが、18歳~30歳の友輝会の年代の人々を対象に行われました。題して、「マナー講座『大人の寿司(すし)の食べ方 和食について』」。一般的に「マナー」と言えば、お箸の使い方や食べ方など、形から入るもの。今回の講座では、作る人も、食べる人も、“思いを感じる”、ズバリ“心”がテーマです。2月2日、神総本部 愛光会館の会食処には、「どんな会なのか楽しみ」と期待に胸を膨らませる若者が集いました。
「きょうは、日本の食文化に触れましょう」と、会がスタート
まずは、日頃、会食の会席料理を担当する職員から。和食一筋に腕を磨いてきた経験を基に、つかんだことの話がありました。
5つの節句と食の関係、旬の物を食べるのは体にも良いこと。家族や仲間と分け合う鍋などの料理で、相手への気配りや思いやりの心が身に付くこと…初めて聞く話も多く、「へー」と何度も感嘆の声が上がりました。
テーブルに並ぶのは、職員が一つ一つ心を込めて作った料理。
「いただきます」と、いよいよ実食。「繊細な味がする」「これはどう作っているんだろう?」と、初めての人同士でも和やかに、お箸も会話も進みます。
お寿司と、5つの「ん」の付く縁起物(きんかん、ぎんなん、なんきん、にんじん、れんこん)を堪能
寿司職人としての道を歩んできた職員は、目の前で握りの技を披露しながら、参加者からの質疑応答も。さまざまな話題に共通するのは、お客さまへの心遣い。左利きの方には出す向きを変える…など、こまやかな配慮も、“おもてなしの心”から自然と現れていく行為の一つ。好みや、食事を提供するスピードなども、コミュニケーションを図りながら見極めます。どのような場面でも、相手の思いを感じ取っていく大切さをつかみました。
最後は、「ごちそうさまでした」と、拍手で閉会。
「どれも心がこもっていて、温かい気持ちになりました」「感謝の思いで食べると、いつもとはひと味もふた味も違ったんです」と、充実した時間におなかも心もいっぱいの様子。
「マナー講座だから、所作を学ぶのかと思って来ましたが、職員さんの話から伝わってきたのは、心の大切さでした。作ってくれた人の心遣いを感じると、よりおいしくて、自分も家族に料理するときには、もっと思いを込めていこうという気持ちになりました」
「作る人の心を感じて思い出したのは、帰省したときに食べる母親の手料理のおいしさ。家族のことを考えて準備してくれる母に、感謝を伝えたいです」
「きょうのお話から、相手を思う心遣いが大事と感じました。美容師をしているので、ちょっとの気配りで、お客さまも満足、自分も気持ちよく仕事ができると思いました。早速、明日からの職場で生かします!」
マナーとは、相手への配慮が形になることと学んだひととき。心の所作がきれいな人になる! 家庭で、職場で、周りの人に、もっと思いやり深い生き方をしようと心に決めた、若人たちの目は輝いていました。